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特集記事

音楽にかまけて その8 〜〜お酒とコーヒーと音楽の店 楽屋 青山将之



休憩室×音楽屋×くつろぐ場所。そんな意味を込めて名付けられた楽屋さんは、音楽を聴きながら気軽に飲めるお店です。
レコード・CDの数は、村上で一番!オーナーが集めたジャズをメインに、ブルースやボサノバなどが揃います。また、軽食には注文を受けてから作るというポップコーンや、お酒の〆に大人気のお茶漬けパスタなど、こだわりのメニューがありますよ。
『明朗会計の気軽な音楽酒場』、楽屋で日常空間を少し離れ、音楽に浸ってみませんか?

 

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 <ソニー・ロリンズ>


体をこわして楽屋を二週間休んだ。
多くの方々に心配と激励をいただき、感謝感謝。休んでいる間は不思議と音欲にとぼしく、ほとんど音楽は聴かなかった。
久しぶりの再開店の夜、まず何を聴こうかと少し迷ったが、ソニー・ロリンズの「イン・デンマーク1」にした。この盤を教えてくれた友人が、何かあったときにはこれを聴くと言っていたのを思い出して、改めて聴いてみた。
一曲目は「フォア」。48分という前代未聞の長さにまず驚くが、その長さにもかかわらず演奏がまったくだれないのが奏者四人のすごさ。
この大曲をカウンターの中で聴いていると、店主の感覚がもどってきた。
そうそう、この音とこの立ち位置。
ひとりで「職場復帰」を喜んだ。

 

 

 

 

 <ニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン>


久々に東京でレコード屋めぐりをしていると、ラジオで知って探していたケニー・ドリューのCDを発見。
今回最もうれしい収穫となった。
聴きたかった「月の砂漠」が、このところ夜ごと楽屋に流れている。
この曲に対する反応が意外に多く、関係ないわたしまで何だかうれしくなる。ドリューのピアノもいいが、ペデルセンのねちっこくうなるベースがやっぱりすごい。と聴いて思った。
わたしの好きなベーシストのひとり、ニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセンは、デンマークを代表するジャズ奏者で、彼の演奏を聴きにデンマークへ行きたいと思っていたが、2005年に58歳の若さで急逝。
彼が去ってから、気に入りの現役ベーシストが見つからない。

 

 

 

 <山下洋輔>


冬の寒い夜はお客さんが少ない。
お客さんがいない夜には、日頃はまずかけることのないフリージャズをひとり大音量で聴いたりもする。
文字通り自由奔放な演奏が醍醐味のフリージャズを、吹雪の夜に聴くのが好きだ。窓外の駅舎がいっさい見えないくらい強烈にふぶいていれば、なおいい。
フリージャズと言ってもさまざなな奏者がいる中で、とくに吹雪に合うのは、山下洋輔だと思う。
疾走する繊細なピアノと吹雪のセッション。
ただひたすら聴くのみ。
何かをしながらのBGMにはなりえない。
山下洋輔トリオでの純粋なフリーもいいが、浅川マキとの共作もすばらしい。初の共演作となった「奇妙な果実」でのソロが圧巻。
その昔、新潟にも一緒に来演したという。
これは聴きたかった。

 

 

 

 <デイブ・ブルーベック>


ジャズピアニスト、デイブ・ブルーベックが12月5日になくなった。
訃報が流れた6日の楽屋はほとんどお客さんもなく、終始ブルーベックを聴きながら、ひとり静かに追悼する。
ブルーベックの代名詞的な大ヒット曲「テイク・ファイブ」は、サックス奏者のポール・デスモンドによって書かれた曲だが、ブルーベック自身も多くの名曲を残した作曲家だった。
7拍子、9拍子、11拍子など、変拍子をとる作品で知られ、中でも7拍子の「アンスクウェア・ダンス」がわたしの気に入りである。
1234567と数えながら聴くと、本当にぴったりはまるのがすごい。
最近まで演奏活動を続け、生涯現役だったデイブ・ブルーベック。
6日が92歳の誕生日だった。

 

 

 

 <ケニュー・ドリュー>


日頃ラジオはNHK第一を聴いている。
NHKに限らず、係員の選曲、聴取者からのリクエストなどによって、ラジオからは様々な音楽が流れてくる。知らない曲がたくさんかかり、意外な発見もあるので、ありがたい存在である。
とある昼どき、ケニー・ドリューの演奏する「月の砂漠」が流れてきた。
わたしの好きなジャズピアニストのひとりだが、こんな曲もやっていたのかと少し驚いた。しかも演奏がいい。
哀愁ただよう日本の童謡が、ドリューのアドリブによって骨太なジャズに仕立てられていた。
調べてみると、1992年、ドリュー晩年の録音とのこと。ところが収録作はすでに廃盤で入手困難らしい。
廃盤という言葉に弱い性分なので、がぜん猟盤熱が高まる。
ひとつ楽しみを与えてくれたNHKに感謝。

 

 

 

 <ルイ・アームストロング>


ある夜ふけ、厳格そうな白髪の紳士がひとりで楽屋のカウンター席についた。
聞くと韓国からの旅の方で、たまたま楽屋の灯を見つけて入ったとのこと。こんな怪しく古びた階段をよく上がって来られたと感激する。
ホッピーの飲み方をなかなか理解してもらえず苦労したが、音楽がお好きなようで、あれこれと曲のリクエストをいただき、初めての村上の夜を楽しまれたようだった。
やはり音楽に国境はない。
まずリクエストされたのが、ルイ・アームストロング。
煙草をくゆらせながらじっと聴き入る老紳士の姿は、サッチモのかすれた歌声と妙に合っていた。
いかめしい真顔で「聖者の行進」に拍手を送っていた彼も、最後は笑顔で三年後にまた来ると言って去って行った。

 

 

 

 <崔健(ツイ・ジエン)>


1992年の留学から20年ということで、一緒に学んだ友人と先月北京に集まった。
20年前の思い出話に花が咲き、大いに盛り上がった。
20年前の中国で音楽と言えば、台湾歌手などの歌謡曲が主流だった。明らかに複製とわかるカセットテープが道ばたで安く売られ、そこかしこで似たようなラブソングが流れていた。
そんな中、たまたま友人に借りた崔健の音楽を聴いて、大きな衝撃を受ける。
これはまったく新しい北京のロックだ。
中国にもついにロックが生まれたのだと感動し、すぐさまカセットを買いに走った。
1991年発表の二作目「解決」がいい。ロックに中国の伝統楽器の音色を織りまぜたオリジナル曲は、20年経った今聴いても色あせない。斬新な響きがある。

 

 

 

 <ももいろクローバーZ>


本紙モカの読者から当拙文に対する感想をいただくことがある。
わざわざ楽屋に足を運んで下さったり、モカ編集部に寄せていただいたりして、いろいろなご意見をうかがうのは、とてもうれしくありがたい。この場をお借りして、毎回読んで下さる方々に御礼申し上げます。
その感想の中で、とりあげてほしいアーチストのリクエストもたまにある。
先日リクエストしていただいたのが、「ももいろクローバーZ」。
初めて聞いた名前だったので調べてみると、いま流行中のアイドルグループらしい。5人の女性が同形異色の衣装を着ているので、秘密戦隊ゴレンジャーを彷彿とさせる。
平日は学校に通っているとのことで「週末ヒロイン」という肩書がある。いい心がけだと思う。

 

 

 

 <あがた森魚>


小梅ちゃんのイラストを手がけた漫画家、林静一の代表作に「赤色エレジー」がある。
幸子と一郎というアベックをシュールに描いた作品だが、あがた森魚はこの作品に衝撃を受けて曲を作り、作者の林を喫茶店に呼び出して、いきなり披露したという。
当の林静一もさぞ面食らったことだろう。
結局この「赤色エレジー」がデビュー曲となり、あがた森魚は異色のフォーク歌手として世に知られることとなる。
はずれたような、裏返ったような独特の歌声が何となく滑稽でもあるが、歌詞も曲調もレトロで、大正ロマンを思わせる彼の楽曲は、静かな夜にしんみり聴くのがいい。
ちなみに、わたしがしばらくの間「もりぎょ」と読んでいた彼の名前は、「もりお」と読む。

 

 

 

 <渋さ知らズ>


CDの帯いわく、「荒唐無稽文化財」「音の治外法権」。
1989年に結成された渋さ知らズは、フリージャズオーケストラとでも言うべき日本の音楽集団で、その大所帯からくり出される音楽は、激しくて楽しくて格好よい。
メンバーは流動的で、総勢100人ほどいるらしいが、ライブではだいたい2,30人が登壇し、ダンドリストの不破大輔がそのにぎやかなステージをしきる。
1997年のライブ盤「渋祭」がいい。
何年か前、同盤に収録されている「Pチャン」が突然テレビから流れてきた時は本当に驚いた。何事かと思ったら、阿部寛が目薬をさすCMだった。
その影響かどうかはわからないが、楽屋でも渋さ知らズがたまにリクエストされるようになったのは何とも喜ばしいことだ。

 

 

INFO

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音楽を聴きながら、そのひとつひとつに耳を傾ける。ひとつの音源を集中して聴くのも音楽の楽しみ方でしょうか。このサックスがいい。このベースがいい。好みの音に出会うと、なんだか嬉しくなりますね。

 

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